お通夜の受付で使う挨拶は、弔問客として訪れる場合も受付係を務める場合も、それぞれ決まった言葉があります。受付は弔問客が最初に接触する場所であり、ひと言の挨拶が遺族への配慮を示す大切な機会です。この記事では、受付係・弔問客それぞれの立場から使う挨拶・対応の流れ・マナー・注意点まで整理してお伝えします。
お通夜の受付で挨拶が大切な理由
受付は弔問客と最初に接する場面
お通夜では、弔問客が会場に到着してまず最初に向かう場所が受付です。記帳・香典の受け渡し・会場への案内など、受付は葬儀の運営にとって重要な窓口です。
弔問客にとっても、受付での言葉のやり取りが「この通夜にきちんと参列できた」という気持ちの区切りになります。受付係にとっては、弔問客を丁寧に迎える第一の場面です。
丁寧な挨拶が与える印象
受付での挨拶は短い言葉ですが、そのひと言が場の雰囲気を整えます。声のトーン・言葉の選び方・表情・お辞儀のタイミングで、遺族への敬意と弔問客への感謝が伝わります。逆に、ぞんざいな対応や騒がしい印象の言葉は、厳粛な場にそぐわない印象を与えます。
遺族に代わって応対する意識
受付係は喪主・遺族に代わって弔問客を迎える立場です。「自分が遺族を代表している」という意識を持って対応することが、受付の役割を果たす上で最も大切な心構えです。言葉遣い・態度・服装すべてがその代表者としての姿勢を表します。
受付全般のマナーについては、葬儀屋さんによるお通夜受付マナー解説記事も参考になります。
お通夜の受付係が使う挨拶

基本の受け答え
受付係として弔問客を迎える際の基本的な挨拶は以下のとおりです。
- 「本日はお越しいただきありがとうございます」
- 「お忙しい中お越しいただき、ありがとうございます」
- 「お心遣い、ありがとうございます」(香典を受け取ったとき)
- 「お預かりいたします」(香典を受け取るとき)
受付係は喪主に代わって香典を受け取る立場であるため、「ありがとうございます」だけではなく「お預かりいたします」という言葉も添えると、遺族への届け物を確かに預かるという意味が伝わります。
弔問客への感謝を伝える言葉
受付係の役割は弔問客に感謝を伝えることでもあります。遠方から来た方・仕事帰りで駆けつけた方への配慮が言葉に込められます。
- 「遠いところお越しいただき、ありがとうございます」
- 「お忙しいところご参列いただき、誠にありがとうございます」
天候や状況に応じたひと言
悪天候の日や気候が厳しい時期は、状況に応じた一言を加えると配慮が伝わります。
- 雨・雪・強風のとき:「足元が悪い中お越しいただき、ありがとうございます」
- 猛暑の日:「暑い中お越しいただき、ありがとうございます」
- 厳寒の日:「寒い中お越しいただき、ありがとうございます」
※ 天候に関する言葉は受付係(記帳係)として対応する場合のものです。会計係は通常の「ありがとうございます」「お預かりいたします」を使います。
弔問客として受付で使う挨拶

記帳時の基本的な言葉
弔問客として受付に立つ際は、まず受付係へひと言お悔やみを述べてから記帳に進みます。
- 「お悔やみ申し上げます」
- 「この度はご愁傷様でございます」
- 「心よりお悔やみ申し上げます」
「お悔やみ申し上げます」は目上にも目下にも使える最もオーソドックスな表現です。迷ったときはこの言葉を選べば問題ありません。
注意:浄土真宗では「ご冥福をお祈りします」という言葉は使いません。浄土真宗では故人が亡くなった直後に浄土へ往生するという考え方のため、「冥福(冥土での幸福)」という概念がないためです。「お悔やみ申し上げます」であれば宗派を問わず使えます。
香典を渡すときのひと言
記帳の後に香典を渡す場合は、以下のような一言を添えます。
- 「御霊前にお供えください」
- 「こちらをお納めください」
- 「ほんの気持ちですが、お供えいただけますか」
香典袋は袱紗から取り出し、表書きが相手から読める向きにして両手で丁寧に差し出します。
長く話しすぎない配慮
受付は多くの弔問客が並ぶ場所です。挨拶は短く丁寧にまとめ、長話しないことが後ろに続く弔問客への配慮になります。お悔やみのひと言と香典を渡す一言の計2〜3文で済ませるのが適切です。
お通夜受付の流れと挨拶のタイミング
受付開始前の準備
受付係は通夜開始の1時間前から準備に入り、通夜開始30分前から受付を開始するのが一般的なタイムスケジュールです。
準備段階で確認しておくこと:
- 芳名帳(記帳帳)の設置とペン・筆記用具の予備の用意
- 香典を入れる箱・香典帳の準備
- 待機場所・トイレ・会場への誘導経路の確認
- 受付係同士で役割分担を確認(記帳係・会計係など)
また、受付係は通夜の進行中も受付に待機するため、通夜が始まる前(準備中)に焼香を済ませておくのがマナーです。
弔問客が到着したときの対応
弔問客が受付に来たら、以下の順で対応します。
- 弔問客を迎えて「本日はお越しいただきありがとうございます」などの挨拶
- 芳名帳への記帳を促す
- 香典を両手で受け取り「お預かりいたします」と伝える
- 会場の場所・焼香の順番・通夜振る舞いの場所などを案内する
記帳から香典受け取りまでの流れ
受付での一連の流れを整理すると以下のとおりです。
- 弔問客の来場 → 挨拶を交わす
- 芳名帳への記帳を促す → 記帳完了を確認する
- 香典の受け取り → 「お預かりいたします」と伝える
- 弔問客が渡した後 → 香典帳に名前・金額を記録(弔問客のいない間に)
- 会場・焼香場所への案内を行う
詳しい受付の流れについては、ライフドットによるお通夜受付マナーの解説記事もあわせてご確認ください。
受付係として気をつけたいマナー

表情や声のトーン
お通夜は悲しみの場です。受付係として対応する際の声のトーンと表情には注意が必要です。
- 声のトーン:できるだけ低めに落ち着いた声で話す。甲高い声・大きな声はその場にそぐわない
- 声の大きさ:弔問客と受付係の間だけで会話が聞こえる程度に絞る
- 表情:笑顔は場にそぐわない。落ち着いた真剣な表情で接する
- どうしても声のトーンが下げにくい場合は、ハンカチをそっと口元に当てて抑えると良い
失礼にならない言い回し
お通夜の場では使ってはいけない言葉(忌み言葉)があります。受付でのやり取りでも意識しましょう。
- 避けるべき言葉:「重ね重ね」「たびたび」「また」「再び」「続けて」など、不幸が重なることを連想させる言葉
- 「死ぬ」「亡くなる」の代わりに「ご逝去」「お亡くなりになる」などの表現を使う
- 「頑張ってください」など励ます言葉も遺族への対応としては避けた方が無難
焼香との順番に関する注意点
受付係は通夜の開始後も受付業務を続けるため、通夜の式典には参列しません。そのため、焼香は通夜が始まる前(準備の段階)に済ませておくのがマナーです。通夜が始まってからは受付を離れることができないため、この点を事前に知っておくことが重要です。
お通夜受付での挨拶例
弔問客に対する挨拶例(受付係が使う)
| 場面 | 挨拶の例 |
|---|---|
| 弔問客が来場したとき | 「本日はお越しいただきありがとうございます」 |
| 記帳を促すとき | 「こちらにご芳名をお願いいたします」 |
| 香典を受け取るとき | 「お心遣いありがとうございます。確かにお預かりいたします」 |
| 会場へ案内するとき | 「どうぞこちらへお進みください」 |
| 悪天候の日 | 「足元が悪い中お越しいただき、ありがとうございます」 |
受付係への返答例(弔問客として使う)
| 場面 | 挨拶の例 |
|---|---|
| 受付に着いたとき | 「お悔やみ申し上げます」 |
| 香典を渡すとき | 「御霊前にお供えください」「こちらをお納めください」 |
| 「ありがとうございます」と言われたとき | 静かに一礼するのみで問題ない |
短く丁寧に伝えるコツ
受付でのやり取りは1〜2文で完結させることが場への配慮です。長々と話すと後の弔問客を待たせてしまい、式の進行にも影響します。「お悔やみ申し上げます」「お預かりいたします」など、決まった言葉を静かに、落ち着いた声で伝えることが最もスマートな対応です。
受付での挨拶の詳細についてはくやうサイトによるお通夜受付マナー解説もあわせてご参照ください。また、受付係の役割については横浜斎典によるお通夜受付対応の解説記事も参考になります。
まとめ
お通夜の受付で押さえるべき挨拶の基本
- 弔問客として使う挨拶:「お悔やみ申し上げます」「この度はご愁傷様でございます」
- 香典を渡すとき:「御霊前にお供えください」「こちらをお納めください」
- 受付係として使う挨拶:「本日はお越しいただきありがとうございます」「お預かりいたします」
- 悪天候の日は「足元が悪い中お越しいただき、ありがとうございます」を追加
- 浄土真宗への「ご冥福をお祈りします」は使わない
- 忌み言葉(重ね重ね・たびたびなど)は避ける
相手に配慮した対応を心がけるポイント
- □ 声のトーンは低め・大きさは受付係と弔問客の間だけに届く程度に絞る
- □ 笑顔ではなく落ち着いた表情・穏やかな態度で接する
- □ 弔問客を長く待たせない。記帳・香典受け渡し・案内をスムーズに進める
- □ 受付係の場合は通夜前に焼香を済ませておく
- □ 翌日の告別式でも受付を任される場合があるため、引き継ぎの準備も意識する
新じいの徒然なるままにでは、葬儀・通夜に関する実践的なマナー情報を継続的に取り上げています。

